アメリカ人と日本人の価値観・考え方が違う理由と乗り越え方を学ぶ

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こんにちは。アメリカで放置系駐在員をしているKhyle(カイル)です。

これまで社内の異文化理解研修を数回受講してきました。今回は研修で学んだアメリカ人と日本人の価値観の違いについてまとめます。

先にお伝えすると、アメリカ人の価値観や考え方を完璧に理解することは不可能です。なぜならアメリカと日本では歴史的・文化的背景が大きく異なるからです。

しかし「違うことが当然」と理解できると、日常生活や仕事の場面で感じるストレスが減らせます。アメリカ人との価値観の違いに悩んでいる方の参考になれば幸いです。

この記事はこんな方々に役立ちます。

  • アメリカ人と働き始めて価値観の違いに戸惑っている人
  • アメリカ人の仕事に対する考え方が分からずストレスを感じている人
目次

アメリカ人と日本人の価値観の違いが生まれる理由

もっとも大きな理由は「多民族国家」と「同一民族国家」の違いによるものです。

この違いが生まれた理由にはいくつかの背景があります。

歴史的背景

イギリスからやってきた白人、先住民(アメリカン・インディアン)や南部の黒人など、歴史的にも古くから複数の人種が存在する国でした。

一方、日本は現代でも人口のほとんどが日本人、多い外国人も同じ東アジア人で構成されています。

なお、アメリカの歴史を学ぶにはこちらのページ(Library of Congress)がまとまっていて分かりやすかったです。

政策的背景

歴史的にも複数の人種・民族が存在するアメリカでは、今もなお様々な国・地域から移民・難民を受け入れています。人口の構成比は異なれど、世界中の多くの人種・民族の人々が存在する多民族国家です。

一方、日本はどちらかというと移民の受け入れは消極的です。

文化的背景

上記の通り、アメリカは多民族国家なので様々な文化様式をもつ人々が暮らしています。英語という共通言語もありますが、同一民族の親族・友人の間では母国語が使われています。

一方、日本の公用語は日本語ですし、先進国の中でも英語能力が低いとして有名です。

これらの背景がゆえに、アメリカと日本で国家における民族多様性の違いがあります。

コミュニケーションにおけるContext(コンテクスト)とは

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アメリカと日本ではコミュニケーションのスタイルにも大きな違いが表れます。コンテクスト(Context; 文脈、前後関係の意味)と表現され、これが考え方の違いを際立てる一つの要因にもなっています。

少し分かりやすくすると「言葉そのものの意味で解釈する」か「言外の意味を察する」かの違いです。

もっと分かりやすくいうと「空気を読む」かどうかです。

英語と日本語では両極端なコミュニケーションスタイルなので、それぞれの違いを見ていきましょう。

ハイコンテクスト(High Context)は言外の意味を「察する」

ハイコンテクストなコミュニケーションとは「言外の意味を察する」スタイルです。

例えば日本人同士の日本語の会話では「検討します」「善処します」は「NO」の意味で使われることも多いです。

単語そのものには「NO」の要素は一切含まれていませんが、日本人は「NO」という回答を聞き手が「察する」のです。どんなに遠回りで婉曲的な言い回しでも聞き手が「察して」いるのです。

これが可能なのは、同じ文化・考え方・言語を持つ人同士の会話が基本になっているからです。

【ハイコンテクストの言語圏】

日本、中国、韓国、インドなど(アジア・アラブに多い)

ローコンテクスト(Low Context)は「言葉そのもの」で理解する

一方、ローコンテクストなコミュニケーションでは「言葉そのもの」の意味で解釈します。

前述の例で言えば「善処します」は『うまく・適切に処置する』の意味なので、本当にうまく処置してもらえると聞き手は考えます。これが「NO」の表現だとは考えません。

全く異なる言語・文化・習慣の人同士がコミュニケーションをとる場合、ハイコンテクストのような「察する」ことは極めて難しく、相手の意思や発言を正しく理解することを最も大切にします。

つまり「相手が発した言葉そのもの」が大事にされるため、発した言葉そのものが重要なのです。

ちなみに、英文法の「YESかNOかの単語が文の最初に来る」こともその一つの表れです。これを聞き逃すと解釈が180度変わってしまうからです。

【ローコンテクストの言語圏】

アメリカ、オーストラリア、カナダ、ドイツ、オランダなど(欧米に多い)

ローコンテクストのコミュニケーション事例

アメリカ人(や日本以外の国籍の人)と会話していると頻繁に耳にするフレーズがあります。

Does it make sense?(分かった?)

Does this answer your question?(これ質問への答えになってる?)

Did I answer your question?(答えになってた?)

話し手がいろいろ説明した後に、これらのフレーズで確認を取ることがとても多いです。

同じ言語・文化を持つ人たちなら「暗黙の了解」で理解できますが、全く違う言語・文化を持つ人が混在する国では「正しく伝わったか」の確認が必要なのです。

このことからも、英語は「話し手責任」の言語だと分かります。

反対に、日本語のようなハイコンテクスト言語では聞き手に「察する」ことが求められ、「聞き手責任」の言語だと言えます。

考え方や価値観の違う環境を乗り越える方法

アメリカに限らずですが、異国の地で生活するということは「異なる文化・価値観・考え方」を理解し受け入れるということです。

ただし、中にはなかなか受け入れ難いものあるのは事実です。何せ全く異なるアイデンティティのことなのですから。

私が実践してきた異なる価値観・考え方を受け止める方法で良かったものをご紹介します。

方法①:「違う」ということを理解する

まず大前提として、相手は「違う(=異なる価値観・考え方を持っている)」ことを理解することです。

「は?」と思う方もいると思いますが、同一民族国家で生きてきた日本人は、比較的この意識が多国籍国家の人たちよりも低いと思います。

私も渡米当初は「『違う』と理解する」ことができていない人間の一人でした。今振り返れば「あの時この考え方ができていれば結果は全く違ったのになー」と反省することがたくさんあります。

多国籍国家のアメリカでは、常にこの「違う」を意識しておくとストレスがグッと減らせます。

方法②:「第三者視点」で理解する(Agree to Disagree)

多種多様な文化が存在する多国籍国家では、相手の価値観・考え方を100%理解し受け入れることは不可能です。自らのアイデンティティと異なるものには多かれ少なかれ拒否反応が出るのは自然な反応です。

そんな時、英語圏では「Agree to Disagree」の考え方が役に立ちます。直訳すると「反対意見に賛成する」です。

つまり「賛成はできないけど、あなたの意見・状況は理解するわ」みたいな考え方です。

特に相手と(価値観・考え方の違いにより)意見が合わない時は、このように第三者的な視点で「意見や状況の理解」と「自身の感情」を切り離してコミュニケーションすると、ストレスを減らせます。

方法③:「青天の霹靂」くらいのコミュニケーションがちょうど良い

日本人にとって「アメリカ人は大げさ」と感じるコミュニケーションは多いと思います。さもない出来事なのに青天の霹靂くらいの表現をしてきます。

少し誇張すると1日1回「青天の霹靂」がある世界なので、日本人からすると「やりすぎ」と思うくらいがアメリカ人にとっては普通なのです。

逆に「やりすぎ」なくらいの方が相手もリアクションしやすく、表現が薄いと相手もリアクションに困るのです。

方法④:「リスペクト」の視点が大事

教育システムに根付いている部分だと思いますが、アメリカでは小さい頃からとにかく褒められて育ちます。小さい子同士でも「I like your XXXX」と褒めちぎり合います。

「褒める」ためには相手の良いところを見つけようとする必要があり、この行為が自然と相手を「リスペクト」することにつながっていると考えています。

なお、日本では「リスペクト(Respect)=尊敬」と訳されるので、どこか重々しいほどの畏敬の念をイメージしがちですが、もっとカジュアルに「マジかっこいい、好きそれ」くらいで良い気がします。

大事なのは常にポジティブな視点で、ポジティブな表現で、相手をポジティブにすることです。

なお、アメリカで働く上でのリスペクトの大切さはこちらの記事も参考にしてみてください。

異文化理解に役立つ書籍のご紹介

私自身も異国での生活に悩んだ時期があり、書籍を読んで異文化理解について学びました。役に立ったなと思う書籍をいくつかご紹介します。

『異文化理解力 – 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』(英治出版)

文化の違いを「コミュニケーション」「評価」「決断」など8つの指標で整理されていて、各指標において比較する文化同士の相対的な位置関係(=どれだけギャップが大きいか)の理解が重要と学びました。

実際の出来事をベースにした事例が多く、どういう時に考え方のギャップが生まれるのかが分かりやすかったです。

『経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法』(日本能率協会マネジメントセンター)

「ホフステードの6次元モデル」というフレームワークで文化同士の違いを整理しています。各指標において各国がどういう位置にあるのか(=どういう傾向の国なのか)がまとまっていて分かりやすかったです。

『ソニー再生 変革を成し遂げた異端のリーダーシップ』(日経BP)

異文化理解の本ではありませんが、幼少期からアメリカで暮らし価値観や文化のギャップの中で「Agree to Disagree」の考えを学んだ著者のご経験は参考になりました。

まとめ

いかがでしょうか?今も「もっと早くこの視点を持っていればよかったなー」と後悔していますが、同じような失敗をしないように皆さんの参考になれば幸いです。

  • アメリカ人と日本人の価値観・考え方には大きなギャップがある
  • 「違う」ということを理解するだけで、価値観のギャップによるストレスは減らせる

Thanks!

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