最近Tech業界のツイートを見ていると「プロダクトマネジャーになりました!」といったコメントをよく目にします。
日本ではまだあまり浸透していないかもしれませんが、海外ではけっこう馴染みの職種です。かくいう私も実はプロダクトマネジャーになって7年が経過しようとしています。
業界によってプロダクトマネジャーの定義や役割は異なると思いますが、自分の経験をまとめつつこれからプロダクトマネジャーを目指される方の参考になれば幸いです。
ちなみに私の職務経歴はこんな感じです。
新卒で中小企業向けコンサルティング会社へ就職。4年後、事業プレイヤーになれないコンサルタントの立場にもどかしさを感じ事業会社へ転職。機械部品業界にて自社ECサイトで商品販売する会社でプロダクトマネジャーとして活動し、5年間で商品担当→商品チームリーダー→USA現地法人のプロダクトマネジャーを経験。
本記事でのプロダクトマネジャーの定義
私は「Tech系でアプリ開発!」「自動車メーカーで新車開発!」みたいなカッコイイ経験はないですが、一応、自社ECサイト上で数千万アイテムの機械部品や工場間接資材を販売する東証1部上場の事業会社で働いています。
その会社の商品事業部に所属し、担当の商品カテゴリのPL責任(Profit and Loss、つまり売上・収益のこと)をもちながら事業拡大に取り組んでいます。
よって、本記事でのプロダクトマネジャーは私の経験を基にした「機械部品を自社ECサイトで販売する事業会社で、PL責任をもつ商品事業部のプロダクトマネジャー」と定義します。
プロダクトマネジャーってどんな仕事?
プロダクトマネジャーの定義はしたものの、実は役割や責任範囲はなかなか定めづらいです。
なぜならプロダクトマネジャーの役割は非常に多岐に亘るからです。一旦、私の業務内容をざっと書き出してみるとこんな感じです。
- 市場調査(データ分析、顧客訪問・ヒアリング)
- サプライヤー交渉(新規取引先開拓、既存取引先とコストダウン交渉)
- 取扱商品選定
- 販売・調達価格と標準納期の決定
- 商品登録(データベースへ商品情報登録、商品ページ制作)
- KPIモニタリング(売上・収益、顧客数、オンラインアクティビティ、サービス品質)
- 在庫管理
- 業務対応(納期調整、クレーム対応)
- プロモーション(LP制作、プロモーションメール配信、カタログ・チラシ制作)
- SEO改善
いかがでしょうか?他の事業会社は経験したことがないので分かりませんが、これほどの仕事内容を一人で行う会社や部署はなかなかない気がします。
もちろん、これら全ての業務を自身のリソースだけで遂行するわけではありません。というより圧倒的に工数が足りず遂行できません(笑)。
事業活動全体を一気通貫で自分の意思決定で進めることができるので(社内承認は必要)、見方によっては経営者的な仕事ができるとも言えるかもしれません。
プロダクトマネジャーの仕事の面白さ・大変さ
仕事の得意・不得意や向き・不向きは人それぞれです。なのでプロダクトマネジャーの仕事を楽しいと思えるかも人それぞれですが、少なくとも私自身は楽しい仕事だなと思います。
もちろん大変なこともたくさんありますので、具体的にどんなことが楽しいか・辛いかをまとめてみました。
楽しいことはこんな感じです。
- 事業の上流から下流まで自身の意思決定で進めることができる
- 企画、調達、開発・製造、営業、マーケティングといった事業活動を網羅的に経験できる
- 売上・収益のPL責任を持つことでお金を稼ぐための商売感覚を養える
- 小さな事業会社の経営者的な役割を疑似体験できる
一方で、大変なこともたくさんあります。
- 自ら企画・実行・改善をしなければ事業を拡大できない
- やることが多岐に亘るためかなり忙しい
- 関わる部署が多く、部署間の調整作業に時間を要してしまう
特に実体験からも「かなり忙しい」は特徴の一つでしょう。
私は日本本社と海外現地法人の双方でプロダクトマネジャーを経験していますが、本社入社時はまだ新規事業だったのでリソースを充てがってもらえず、業務作業も自らこなさなければなりませんでした。
一方、USAでは部署や個人の業務範囲が明確に決まっているため、ある程度の合意形成をすれば他部署が対応してくれるのでそこまで逼迫した状況には出くわさなくなりました。
逆に範囲外のことは融通利きませんし、きっちり指示しないと意図した通りに進まないという別の大変さはあります(笑)
プロダクトマネジャーとプロジェクトマネジャーの違い
日本ではプロジェクトマネジャーのほうが認知度が高いと思います。
「同じ『PM』だけど違いは何?」といった疑問を持たれると思いますので、参考までに違いを挙げておきます。(※あくまで私見です)
プロダクトマネジャー:担当商品やサービスのPL責任もち売上・収益・シェアの拡大が求められるため、開発・ローンチがゴールではなく継続的な事業推進活動が必要
プロジェクトマネジャー:達成したい目的や改善したい課題があり、達成することがプロジェクトのゴールやスコープとなる。達成すればプロジェクト組織や役割は解散・終了
つまり、特定の課題や目標を期限内に達成するためにプロジェクトを管理するのがプロジェクトマネジャーです。
一方、プロダクトやサービスの開発・ローンチの売上・市場シェア拡大も含めて半永続的に事業推進していく役割を担うのがプロダクトマネジャーだと考えます。
端的に言えば単発か永続かの違いかなと思っています。
私もプロダクトマネジャーをしつつ他部署と連携する社内プロジェクトをリードするプロジェクトマネジャーをしたことがありますが、当時は凄まじい勢いで1週間、1ヶ月が終わっていく感覚でした。(苦笑)
プロダクトマネジャーになる方法
ここまで読んでいただき「どうすればプロダクトマネジャーになれるの?」と興味を持たれた方もいらっしゃると思います。
現時点で私ができるアドバイスは残念ながらこのくらいしかありません。
- プロダクトマネジャーとして採用募集している企業を狙う
- 日系企業ではなく外資系企業を狙う
どちらかと言えば、日本人は自分の守備範囲外でも頼まれたことに対しては最大限手伝おうとしてくれる優しい人種なので、比較的ジェネラルな役割が求められるプロダクトマネジャーは親和性が高いかもしれません。
ただし、(日本だけではありませんが)多くの企業では「企画」「購買」「開発・製造」「営業」「マーケティング」とそれぞれ機能別に組織編成されているため、なかなか事業機能を横ぐしで一気通貫に推進する活動はいろいろな壁にあたり難しいことが予想されます。
私が所属する会社は昔からこの「一気通貫の事業推進」を売りにしている特異な企業なので運が良いのかもしれません。
ただし、ビジネスモデルだけを見ればいわゆる『オンライン通販』なので、Amazonや楽天をはじめ日本のEC事業会社でに同じ経験ができるかもしれません。
また、USAでの求人広告をみていると企業の有名・無名に限らずProduct Managerを募集している企業は多く見かけます。日系に限らず外資系も視野に探すのも早道かもしれません。
今回の記事を書きながら「自分の知識・経験をまとめるためにも、プロダクトマネジャーやプロダクトマネジメントの記事はシリーズ化してまとめていったほうがいいな」と思いました。
私自身もまだ色々学び吸収できる要素がたくさんある職種なので、できるだけ有益な情報を提供できるように頑張ります。乞うご期待ください。
Thanks!