アメリカ株式市場の市況まとめと予想シナリオ(2025/3/31週)

こんにちは。Kyleです。

本日は3月31日週の米国株式市場の振り返りです。今週は最も注目されたのはReciprocal Tariffs(相互関税)でした。この発表直後からアメリカ株式相場は大きく下落し、世界中のマーケットが混乱に陥りました。その他はISM、JOLTs、雇用統計などの重要経済指標も発表されましたが、相互関税がもたらした混乱の前には重要度が下がり、とにかく株価の著しい下落を目の当たりにする1週間となりました。

それでは今週の経済イベントや相場動向を振り返っていきましょう。

目次

今週の経済・政治・金融イベントの総括

3/31〜4/4までの経済イベントと市場の反応は以下の通りです。

  • 4/1:ISM製造業は予想を下回り、好況・不況の境である50を下回る49となった。項目別の結果も満遍なく悪化傾向を示し、購買価格は大きく上昇。雇用も悪く、スタグフレーションの様相。 JOLTS求人件数も市場予想、前回数値ともに下回る。 アトランタ連銀のGDP Nowが-2.8%から-3.7%に大きく下方修正
  • 4/2:相互関税が発表され、初動は「いずれの国も10%」で想定よりマイルドかと思いきや、主要国中心とした個別関税が予想以上にアグレッシブな関税率が出てきて、ETHで市場暴落。アメリカ市場だけでなく各国のマーケットが大幅下落。
  • 4/3:ISM非製造業は予想下回る50.8。総合はギリギリ50を上回ったが、個別数値は雇用が大きく下落。新規受注も下落。ただし価格も下落。 株価は前場はなんとか反発しようとする勢いもあったが、最終的には下げ圧力に押し切られ急落。
  • 4/4:VIXが40を超える。アメリカ10年金利が4%を切った。 雇用統計は市場予想を大きく上回る。DOGEの人員削減効果もまだ本格的に数値に表れてきていない可能性あり、失業率は微増にとどまる。
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2025年4月4日終了時点のSPY

ちなみにこのチャートはTradingViewを使って作成しています。とにかく使いやすくて、毎日の市場チェックに欠かせません。イベントカレンダーやヒートマップなど機能も多彩でおすすめです。

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市場の地合いと予想シナリオ

相互関税(Reciprocal Tariff)

なんといっても相場の大転換点となったのは4月2日の相互関税でした。

ベース関税である10%が発表された直後は「意外とマイルドな関税だ」と市場は安堵して株価は上昇しました。発表直前までも、それまでの売られすぎムードからか株の買い戻しがあり上昇を見せていました。

しかし、その後発表された国別の関税率が大きく自体を転換させました。下表のようにとても高い相互関税率が出てきたためです。日本は24%の相互関税が課せられます。

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2025年4月3日に発表されたReciprocal Tariff(相互関税)

多くのエコノミストが確認したところ、算出根拠は「対米輸入関税÷貿易収支」で各国の対米関税率を算出し、その約半分の税率を相互関税として各国に発動させるとのことです。

エコノミストや金融畑の人たちからすると理解し難い計算ロジックのようですが、ともかくこれが今の所の”上限”となる関税率とのことです。ベッセント財務長官も報復関税を控えれば今が”上限”になることを強調しています。おそらく、この関税率をベースに、各国とのディール交渉を進めていく狙いのようです。

そして別の狙いは、すでにFRBパウエル議長に対してのコメントがSNSで公表されているように、アメリカ政府が抱える巨額の利払いが控えているため、FRBになんとか利下げさせて少しでも低い利率で借り換えしたいという意図があります。こちらも深刻な問題だと思われ、このまま巨額の借り換えが進み財政赤字に歯止めがかからないと、残るムーディーズによる米国債の格下げがあり、アメリカの世界における経済的な優位性にも少なからず影響を与えかねないと考えます。

つまり、トランプ大統領はFRBが利下げするまでは市場経済に崩壊も厭わずに続けるだろうと考えられ、加えて各国とも見返りあるディール交渉にならない限りは関税の撤廃・低減には乗らないだろうと考えられます。

金(ゴールド)

金は$3,167の市場最高値を更新したものの、相互関税の発表に伴い大きく下落しました。

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2025年4月4日終了時点のゴールド(金)価格

通常、ゴールドは安全資産なので、今回の市場・株価の暴落の際には、むしろリスクオフのためにゴールドが買われると予想していました。

しかし、実際にはゴールドすら価格が下落しています。おそらく直近の価格上昇の動きは、リスクオフによる安全資産としてのゴールドへの回避だけでなく、投機的な買いもかなりの量があったのではないかと考えます。

このまま株価の低迷や市場の警戒感が拭えない場合は、一旦は下げても、その後のリスクオンになったタイミングでポートフォリオの調整にゴールドから株に流れる動きが出て価格下落の可能性があるのではないかと推測します。

今週の学び

迷わず損切りするための胆力

4月2日の相互関税発表直前まで株価が異様に上昇していった時、そして10%のベース関税が発表され「意外とマイルドかも?」と楽観的に株価がまだ上昇した時、Putオプションがどんどん値下がりしていくことに、まるでジェットコースターに乗って急降下していく感覚がしました。冗談ではなく、本当に急降下していく感覚でした。

たった$300弱のPutオプションでそんなん感覚に陥るのですから、信用取引の空売りやショートポジションの踏み上げを受けてしまった時は、精神的な追い込まれ具合は半端ないんだろうなと思いました。

本当に、撤退ラインの事前設定と、迷うことなく損切りする胆力は重要だと感じます。

スウィングとして購入した個別銘柄を「中長期でも持っていい銘柄だし、Wash Saleになるの嫌だしなぁ」と保有継続した結果、大きく含み損を抱える結果になりました。含み益が出ている時に「利益伸ばせそうだからホールド」の判断はOKだが、含み損の時にはよっぽどの材料が揃っていない限りは保有の時間軸を伸ばしてはいけないことを経験を通じて学んでいます。

まとめ

  • 相互関税がもたらした世界市場の崩壊は大きな転換点なった
  • 各国からの報復関税の有無・程度によってはさらに混沌とした世界に発展する可能性

以上です。ご覧いただきありがとうございました。

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