アメリカのIRA(個人年金)の仕組みやメリットについて【節税】

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こんにちは。アメリカ中西部で暮らすKhyle(カイル)です。

今回はアメリカでの蓄財方法を調べている中で知ったIRA(Individual Retirement Account; 個人退職金勘定)についてまとめました。

IRA?全然聞いたことないんだけど。。。

私もそうでした。アメリカの401k(確定拠出型年金)について調べる過程で初めて知りました。

IRAは「個人で積み立てる年金プラン」です。

アメリカで会社勤めをされている方は401kの利用者が多いと思いますが、個人事業主や一時的に退職されている方はIRAを利用して節税しながら将来への貯蓄されている方も多いと思います。

今回はIRAの仕組みやメリットについてご紹介します。この記事はこんな人たちの役に立ちます。

  • アメリカで投資・節税・蓄財などに興味を持ったばかりの人
  • アメリカのIRA制度に興味をもったばかりの人
目次

アメリカの年金制度について

IRAの説明をする前に、アメリカの年金制度の全体像を把握されたい方は、以前作成したアメリカの401k(確定拠出型年金)に関する下記の記事をご参照ください。

401kやIRAなどの私的年金がアメリカで普及した背景も記載していますので参考にしてみてください。

アメリカのIRAってどんな制度?【個人で積み立てる年金プラン】

IRA(Individual Retirement Account; 個人退職金勘定)は個人で積み立てる年金プランです。

アメリカでは公的年金に対する信頼が下がり、将来への(特に引退後の)蓄えは個々人で確保しなければならない状況になりつつあります。(詳しくは401kに関する過去記事を参照ください)

自分で蓄える年金を私的年金と言います。その内、会社が提供する401kに対して、個人で加入するのがIRAです。下記の全体像をご参照ください。

  1. 公的年金(国からの給付金)
  2. 私的年金(自分で拠出した積立金)
    1. 個人年金(IRAなどの個人での積み立てプラン)
    2. 企業年金(401kなどの会社が提供するプラン)

会社勤めほど安定した雇用環境ではない人や、レイオフ(解雇)されてしまった人の不安を少しでも減らし、個々人が将来に備えて蓄えやすくする制度がIRAです。

IRAの仕組みや種類について

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IRAにもいくつか種類があります。最も一般的なIRAのタイプをベースに仕組みについても説明します。

IRAの種類

IRAには以下の4種類があり、それぞれ異なるメリットや注意点があります。

  1. Traditional IRA
    • 一般的なIRAの一つ。拠出時の課税は繰延べられ、引き出し時に課税される
  2. Roth IRA
    • 一般的なIRAの一つ。拠出時に課税されて、非課税で引き出せる
  3. Non Deductible IRA
    • 所得制限のため、前述2つのIRAに加入できない高所得者向けのIRA
  4. Education IRA
    • 教育費用のためのIRA(アメリカ国内の教育機関のみ、18歳未満のみ、など条件付き)

中でも最も一般的なTraditional IRAとRoth IRAについて詳しく説明していきます。

IRAの仕組み(Traditional IRAとRoth IRAの違い)

IRAは個人でお金を拠出して(運用して増やして)将来に引き出す、という仕組みの個人年金です。

ステップを「拠出→運用→引き出し」の3つに分けて全体の流れやメリットや注意点を整理します。

  1. 拠出 →投資会社やプランを決める、お金を積み立てる
  2. 運用 →積み立てたお金を運用する
  3. 引き出し →積み立てたお金を引き出す

Traditional IRAとRoth IRAではメリットを享受するタイミングに差があります。下表を参考にしてください。

ステップTraditional IRARoth IRA
1. 拠出拠出金は非課税(繰り延べ)拠出金は課税
2. 運用運用益は非課税(繰り延べ)運用益は非課税
3. 引き出し引き出し金(+運用益)は課税
72歳になったら引き出し開始が必須
引き出し金(+運用益)は非課税
引き出し開始の年齢制限無し

なお、拠出金の年間上限金額はどちらも同じです。2023年から上限金額が増額されるようです。ただし、401kよりは年間拠出上限金額が低いです。

  • 2022年まで:年間$6,000まで(50歳以上の場合は年間$7,000まで)
  • 2023年以降:年間$6,500まで(50歳以上の場合は年間$7,500まで)

IRS(Internal Revenue Service; アメリカの内国歳入庁。いわゆる日本の国税庁に相当)のホームページ上でIRAの年間拠出上限金額などの最新情報が公開されていますのでこちらのリンクからご確認ください。

Traditional IRAとRoth IRAの各メリット・注意点についてここからもう少し詳しく説明します。

Traditional IRA

401k(確定拠出型の企業年金)と同様です。積立金の拠出時は非課税で、引き出し時に課税されます。

メリット
  • 拠出金は非課税となり引き出し時に支払いを繰延べられます。大体の人は退職後(≒引き出し時)の所得水準の方が低いので、適用される税率が低くなり節税できます
注意点
  • 59歳6ヶ月以前に引き出す場合は10%の追加税を支払う必要があります
  • 運用益は引き出し時に課税されます
  • 72歳になったら引き出し始めなければいけません(RMD; Required Minimum Distribution)

Roth IRA

拠出時に課税され、引き出し時に非課税となります。Traditional IRAの逆パターンです。

メリット
  • 退職後に所得水準が今よりも上がる人は節税効果が高まります(例えば、保有不動産などの収入が現役時代よりも多くなったり、税率の高い州で将来生活したりする場合)
  • 運用益は非課税となり、引き出し時も非課税です(ただし諸条件あり)
  • 年齢による引き出し開始義務がなく、72歳以降も積立金をそのまま保有できます
注意点
  • 59歳6ヶ月以前に引き出す場合は10%の追加税を支払う必要があります
  • 将来の所得が現在よりも増えていなかった場合は節税効果が得られません

どちらのIRAプランが高いメリットを有するかはその人の将来所得などで異なります。アメリカ投資会社のFidelityやCharles Schwabも両プランの比較説明をしていますのでご参考にしてください。

アメリカの駐在員はIRAを利用できるのか

私が調べた範囲内ですが、市民権非保有者(Non-Citizens)であるアメリカ駐在員もIRA口座を開設できます。

ただし、会社が提供してくれる401kプランとは異なり、IRAは「個人年金」なので個人で投資会社へ申し込む必要があります。

また、401kと同様に、日本帰国後もアメリカのIRA口座を維持できるのかなどを事前に確認しておく必要があります(維持できない場合は一旦引き出さなければならず、ペナルティーが発生)。

まとめ

いかがでしょうか?目標とするアメリカ企業で働く上では、レイオフ(解雇)の可能性も意識しておく必要があり、有事の際も資産を守っていけるように今後も金融・蓄財方法を学んでいきたいと思います。

  • IRA(個人年金)を利用して自分で年金を積立てながら節税できる
  • アメリカ駐在員は日本帰国後もIRA口座が維持できるか先に確認すること

Thanks!

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